テキスト ボックス: W 日本でカジノが実現しなかった理由 日本ではカジノは開設することもゲームをすることもやってはいけない行為です。何故やってはいけない行為なのか、以下にあげられる理由に集約されると思います。また、巻末【参考資料】に、当委員会で「カジノは何故“いけない”と思われますか(いけないと思われない人も、思う人の原因を想像して記入ください)」とのテーマでアンケートを取りました。その結果をとりまとめてありますのであわせてご覧下さい。

 

1、違法性

 刑法第23章賭博および富くじに関する罪(185条〜187条)は、偶発的事情によって、財物を得喪する行為を内容とする犯罪であります。

 〔賭博行為は、本来、行為者が自己の財産を任意に処分するだけであって、別段、罪悪とするにあたらないようであるが、これを広く容認するときは、国民の射幸心を助長し、怠惰浪費の弊風を生じさせ、「健康で文化的な社会の基礎となす勤労の美風」(憲法27条第1項参照)を損なうばかりか、副次的な諸犯罪を誘発し、ひいては、国民経済の機能に重大な支障を来たすおそれがある(最大判昭25.11.224.11.2380)。〕

 カジノは、刑法上賭博に関する罪に当たり、違法であります。

 

2、悪影響の懸念

(1)倫理的な抵抗感

 そもそも一攫千金であぶく銭を稼ごうということ自体が精神の堕落であって、収入は労働の対価として得るのが憲法27条にもあるように、正しい姿のはずであります。人間は弱いものなので、隣人がギャンブルで大金を手にするのを見ると勤労意欲が失われ、次第に社会全体にそれが及び、社会が腐敗していくと言う懸念があります。

 

(2)犯罪・治安維持コストの増加

 カジノは、必然的に犯罪を増加させるのではないかという懸念があります。たとえば、強盗、売春、窃盗、詐欺、横領などの犯罪も増加することも想定されます。1978年にアトランティックシティーでは、カジノ開設前(1972年)と開設後(1984)での、FBIの統計で比較すると、粗暴犯で17%、財産犯を含め全体で6%増えています。又、犯罪を取り締まる警官も25%増えています。

 

(3)ギャンブル中毒者、経済破綻者の増加

 カジノという機会を与えられて、ギャンブル中毒者が増加するという事実は確かに存在します。ギャンブルホーリックというものは恐ろしい病気の一種で、家庭崩壊につながるケースが多々あります。又、借金を重ね、破産したり、失業する人口を増加させます。

 

(4)職住環境の悪化、教育上の悪影響

 あまり風体の良くない人々がたむろするばかりか、カジノにやってくる車が道路や駐車場のキャパシティーを超え、職住環境が悪化します。賭博といえば暴力団をイメージします。それが近くにあると幾ばくかの影響があると予想されます。

 

3、その他の懸念

(1)高度経済成長による豊富な税収

 現在では、全く逆の状況でありますが、数年前までは日本では経済成長に支えられ、税収も順調に伸張し、社会保障関係、文教、科学振興、公共事業関係などに、一定以上の歳出ができました。よって、カジノの合法化による税収の確保についてまで、論議される必要はなかったのです。

 

(2)公営競技・パチンコ産業への影響

新しいギャンブルであるカジノが実現したら既存の公営競技、宝くじ、パチンコ産業が打撃を被る可能性があります。

 

(3)世界的趨勢に対する認識・情報不足

 カジノには、かつて上流階級の社交場としての意味もありましたが、誰もが世界中を旅することができるようになった現代では、手軽に楽しむ事ができる娯楽施設として、世界的に変貌しつつあります。世界的潮流の代表的な例が、90年代に入ってのラスベガスであり、今では“街中がディズニーランド”と呼ばれています。もはや、カジノが無い先進国は日本ぐらいであります。このようなカジノの世界的潮流について日本人の多くは認識していなかったから、カジノに関する本格的な議論が起こらなかったのです。